【文書】取手駅西口再開発ビルへの図書館移設(その1)」で紹介した通り、取手駅西口再開発ビルへの図書館を中核とした複合公共施設整備事業の方針決定の根拠や経緯に関する情報が8月30日付で部分開示されました。この情報をさらに深掘りするため、図書館移設の方針を取りまとめた「取手駅周辺再生本部」の会議内容をめぐって下記1)と2)の情報を市長に対し、図書館移設の根拠とされている「取手図書館利用者アンケート」をめぐって下記3)と4)の情報を市教育委員会に対し、開示するよう請求しました。

1)今年2月開かれた「令和5年度第1回取手駅周辺再生本部」の会議の模様を録音したデータ
2)1)の会議記録者になっている中心市街地整備課主事が起案した「会議要旨」で、その基になった各出席者の発言内容がより詳細に分かる情報(電子ファイルを含む)
3)「取手駅西口A街区再開発ビル内複合公共施設整備事業 事業方針説明資料」の3ページ目左側に記載されている「取手図書館利用者アンケート」について調査の目的・方法・対象・回答内容・集計結果など全容が分かる情報
4)3)のアンケート実施に向けて起案・決裁した文書

1)と2)については、9月17日付「情報不開示決定通知書」が市長から届きました。

開示しない理由として

・上記1) につきましては、令和5年度第1 回取手駅周辺再生本部の会議要開示すること旨を作成する際に、円滑な作成のための補助手段として録音を行ったができないもので、会議要旨の確定後に消去しており、データが存在しません。

・上記2) につきましては、会議要旨を作成する過程において、各出席者所管課の発言内容がより詳細に分かる文書・資料等を作成していないため存在しません。

全体の議事録は作成することなく、録音データから直接「要旨」を作成して、要旨が完成したら録音データは都合良く、即消去したということでしょうか。全体の議論の中から要点を選び出し、何を要旨に盛り込み、何を要旨に盛り込まないかは、要旨作成者の主観的な判断が入らざるを得ません。要旨を作成するなとは言いませんが、要旨作成前の生情報の方が記録として優れていることを市は理解できないのでしょうか。図書館廃止と移設方針に関するさまざまな内部意見を見せたくないため生データや全体の議事録を残したり、作成したりしなかったのではないかと強く疑わざるを得ません。

3)と4)については、9月18日付「情報部分開示決定通知書」が市教育長から届きました。

3)については下記PDFの通り、「取手図書館 利用者アンケート 企画書」、アンケート用紙、調査結果が開示されました。ただし、自由記載方式だった問6「『取手図書館』について、ご意見等がございましたら記入してください。」について計222件の記載があったとされながら、そのすべては開示されず、「項目別要望・意見のまとめ」として42件しか開示されませんでした。図書館で恣意的に取捨選択し「まとめ」ている可能性もあるため、問6に対して回答記載のあった回答用紙そのものをすべて開示するようあらためて請求しました。

4)については不開示となり、その理由として

本アンケートは課内会議において決裁権者である図書館課長が発案し、取手・ふじしろ両図書館で実施に至ったものであり、起案・決裁した文書は存在しないため。

とされました。こうしたアンケートがどのような経緯で発案されて行われたのか、どうしても知りたいため、「図書館課長の発案内容をはじめ、当該課内会議の議事次第や議事録など会議内容が分かる情報」を開示するようあらためて請求しました。しかし、下記の通り、けんもほろろのにべもない回答でした。

課内会議はほぼ毎日行われており、議事次第や議事録は作成しておらず、先般開示した「図書館利用者アンケート企画書」以外に当該開示請求に係る公文書を保有していないため。


取手図書館利用者アンケートをめぐる情報の開示を繰り返し請求した理由としては、第一に、取手市役所サイトに「取手駅西口駅前に『図書館を核とした複合公共施設』の整備を目指します」ページに掲載されている「複合公共施設整備事業の方針」PDFの3ページ目左下で、図書館移設を正当化する重要な根拠に「市民の声」が使われているためです。(下記抜粋)

下記の通り、紹介されているこれら意見10件にはそれぞれの回答者の年代と性別が補足されています。

▽建物や設備等に関するご意見
建物が古いと感じる(40代女性 他同意見有)
新しい図書館を造ってほしい(30代男性 他同意見有)
もっと広いと良い(10代男性)
居心地の良いのんびりできる場所になってほしい(50代女性 他同意見有)
カフェ的な場所があれば良い(70代男性)
開放感のある造りを望む(70代女性 他同意見有)
EV・多目的トイレを望む(60代女性・70代女性 他同意見有)
夜間の開館を望む(30代女性 他同意見有)

▽交通に関するご意見
取手駅近くに図書館があったら良い(60代男性 他同意見有)
駐車場台数が少なく感じる(40代女性 他同意見有)

しかし、ポチに開示されたアンケート結果のうち下記「要望・意見のまとめ」の内容は、上記の事業方針で紹介されている意見と比べると、回答者の年代や性別が記載されていないだけでなく、意見内容の表現も一部異なっていることが分かります。例えば、事業方針では「夜間の開館」との要望が記載されていますが、ポチに開示されたアンケート結果にはありません。また、事業方針では「取手駅近くに図書館があったら良い」と新設の要望が紹介されていますが、開示結果では「駅前近辺に移転してほしい」と移設が要望されています。駐車場についても事業方針では「少なく感じる」と台数不足の指摘が紹介されていますが、開示資料には「埋まっていて止められない」などと微妙に異なる表現が使われています。確かに取手図書館わきの駐車場は24台分しか用意されていませんが、歩いてすぐの利根川河川敷には大きな「取手緑地運動公園 駐車場」があります。

同じアンケート調査でありながら、その結果の記述内容が開示資料と公表資料とで異なっていれば、どうしても回答用紙そのものを閲覧したくなるのは人の情というものです。


第二の理由としては、取手図書館の廃止・移設方針は今年2月7日開いた「令和5年度第1回取手駅周辺再生本部」の会議で取りまとめられたことになっていますが、その会議直前の今年1月13〜28日に取手図書館利用者アンケートがなぜ行われたのか時期的な不可解さがあるためです。

第三の理由としては、アンケート調査は公務として行われ、その結果はアンケート協力者も含めて市民に広く知らされるべきなのに、取手市立図書館の公式サイトでは2024年10月20日現在、アンケート結果が掲載されていません。また、取手市立図書館は毎年度、各種事業や蔵書の内容をまとめた「図書館要覧」を発行し、令和6年版も今年7月に発行していますが、発行半年前に行われた利用者アンケートへの言及はありません。これまた不可思議と思わざるを得ません。

取手図書館利用者アンケートは、その廃止・移設を正当化する根拠を急きょ作り上げるべく、どさくさまぎれに行われたのではないかとの疑念を強く持たざるを得ません。

※その3も近く公開する予定です。

【Xで速報】取手駅前再開発ビルへの図書館移設方針を決定する直前に行われ、移設根拠にされた「図書館利用者アンケート」の回答用紙の開示を請求したところ、#取手市 教委は「集計終了後、年度切り替え時に廃棄したため」開示できないと通知。市文書管理規則の最低1年保存に反して調査後2カ月で処分か

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